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最高裁判所第二小法廷 昭和27年(あ)5474号 決定 1954年2月26日

主文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

弁護人江波戸文夫の上告趣意(後記)は、憲法違反を主張するけれども、原審において主張せず、従ってその判断を経ないところであるから、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。のみならず、記録によれば被告人に対する家庭裁判所の少年審判事件に関与し、事件を検察官へ送致する決定をした花岡裁判官が同被告事件の第一審第二回公判期日に事件担当の裁判官として証人鎌田勝雄外一名を取調べたこと及びその後更迭した裁判官が右証人らの供述記載を第一審判決の証拠に引用したことは所論のとおりであるけれども、家庭裁判所の少年審判事件に関与し事件を検察官へ送致する決定をした裁判官が、後にその被告事件の審判に関与しても刑訴二〇条七号にいう前審の裁判に関与したものというを得ないから除斥せらるべきいわれなく、従って所論第二回公判調書中の証人の供述記載が後の裁判官によって事実認定の証拠に供せられたからといって所論のような違法もない。

その他記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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